会津若松市の取組みに注目

17 3/20

 福島県会津若松市が「スマートシティ会津若松」を掲げ、企業を呼び込んでIoTやアナリティクス、データ活用などの最新のIT活用環境を整備している。行政ぐるみでIT化を推進、横串のIT基盤整備と共に、医療などその上で動く他業種の企業からも注目を集めているようだ。
  同市は、多くの地方自治体と同様少子高齢化や過疎の問題を抱える。東日本大震災の被災地であるが、県内の他地域と比べると被災規模は小さい。そしてITに対する理解も深く、会津大学という国内初のIT系専門大学が立地しており、庁内のオフィスソフトとしてオープンソースソフトを早くから採用するなど、IT企業が注目するポイントが多いという特長がある。
  総務省の話では、地方創生は30年来の施策だが、成功例としては公共工事と工場誘致しかなかったとのこと。それをITに当てはめると、公共工事はニアショア開発、工場誘致は支社開設ということになるだろうが、同市が取り組もうとしているのは、そこにとどまらずIoTやアナリティクスなどの高付加価値な仕事の集積で、労働者が地方でも東京と同じ、或いはそれ以上の給料をもらえるという形だ。
  他業種も含めた町ぐるみのテスト環境として、貴重な取組みが行われている。近頃も、震災以降小規模ながらオフィスを構えて活動してきたアクセンチュアが200名規模への増員と、NECが拠点開設をそれぞれ発表したが、他にも今後請け仕事でなくコトづくりに携わっていくことを考えるSI会社などは、色々できることがありそうだ。
  ただ、行政と産業界が前のめりであるのに対し、IT活用が得意でない国民性もあるのだろうが、地元の住民にはまだ響いていない様子だ。かつての箱モノ行政のように結局活用されず、行政の実績づくりや震災にかこつけた補助金活用で終わらぬよう今後に期待したい。  (I)