SI会社は積極的に前へ

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 6月は、業界団体の総会の時期。情報サービス/SI業界でも情報サービス産業協会(JISA)の総会・懇親会が都内のホテルで行われ、会員や関連団体の代表者が大勢参加してにぎわいをみせた。
  JISAの体制は、会長をはじめユーザー系企業の存在感が目立つ。ITサービスを担う大半の企業は独立系で、戦後の聡明期に発足した老舗企業も多い。そもそも日本には老舗と呼ばれる会社が世界的に見ても多い。日本が極東の島国、他国から侵略されることはなく、同じ土地で農業漁業を続ける中で、自らの仕事を改善し、磨きをかけることを良しとする文化が根底にある。さすがにITは産業ができたのも戦後からなので、百年とは行かないが、弊紙によらず50年企業は多数存続している。
  本来これだけITが進んだ社会において、中心となるべき高い技術力や開発力がある独立系のSI会社が、これからは自らの強みを生かして、多重下請け階層に取り込まれる仕事から、直接仕事を受注する時代が目の前に来ていると思う。どうしても、発注元は丸投げしてもリスクのとれる大企業とそのユーザー系企業に仕事を集めがちになる。以前のような高額の受注ができない中、2次3次と下りてくる流れでは、企業努力も限界で、疲弊してしまう。建設業界などを筆頭に多くの業界と同様なこのスタイルは、ITにより改善できるはずである。ものを見ないで購入するネット通販が伸びた背景には個人相手でリスクが限定され、ここまで急速に伸びるとは予想した人は少ない。
  残念なことに建設業のように高くても頼まざるを得ない産業と違い、今や無料のサービスでかなり事足りてしまうITサービス。価値は認めつつも価格は抑えられてしまう中、リスクを分散して直接取引する次世代への流れに乗るため、一層独自技術力に磨きをかけ、飛躍するチャンスをつかんでほしい。    (Y)