富士通研究所がアプリを自動配信・消去する技術を開発

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 富士通研究所は、情報端末に対し、時間や場所といった条件に応じて必要なアプリケーションを自動的に配信、インストール、消去できる情報端末技術を開発した。パソコンやスマートフォン、タブレットなどのモバイル端末の利用者が、アプリケーションをインストールしていない状態で端末を持ち運び、会議室や教室などを移動するたびに、会議や講義ごとに必要なアプリケーションを自動で使えるようになる。セットアップやデータのインストールなどの時間を省けるため、端末利用の利便性に加えて、生産性の向上も見込める。

 富士通研究所は、端末利用者の状況をGPSなどのセンサー情報から判断し、クラウド環境から状況に応じて必要となるアプリケーションやデータを送信し、端末を起動して実行、不要になったら消去するという一連の動作を自動で行う通信基盤と、アプリケーションの実行基盤を開発した。
パソコンにはスリープ状態を自動解除するための専用チップが搭載され、スマートフォンには、アプリケーションとデータの管理と通信を行う専用ソフトが搭載される。
 これにより、会議室に入室したら必要な資料を閲覧するための環境が自動的に端末に用意され、終了後部屋から退室する際にデータごとアプリが消失、学生がモバイル端末ひとつで教科書を持ち運ばなくても済むようになる。
 現在複数の情報端末を利用し、状況によって使い分けるモバイルユーザーが増えているが、それに伴って端末および端末内のアプリケーションの管理が煩雑化し、端末を紛失した際の情報漏えいリスクも高まっている。
 そのような状況で、同技術を採用すると、必要な場所のみで自動的にアプリケーションやデータが端末内に現れて、使用後に消えるという運用を可能とするため、ユーザーに対して利便性を提供できるだけでなく、セキュリティ面での安全性も確保できる。
 このほかに、アプリケーションが入っている端末を他の端末にかざすと、近距離無線通信によって、端末の種類を問わずにアプリケーションとデータを移動させることができる。その際にアプリケーションは、自動的に画面のサイズに合わせられ、見やすいようにレイアウトされる。

   富士通研究所は、今年度中に技術の完成度を高めて2012年度の実用化を目指すとしている。

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