NRI、新中計は海外が牽引

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 野村総合研究所(NRI)は、2016年度から3カ年の中期経営計画を発表した。その中で19年3月期の連結売上高を16年3月期の4214億円から5000億円と18・7%増、連結営業利益を582億円から700億円と20・3%増加し、年率にして6%前後の成長を図る。特にM&Aを含む欧米への展開などグローバル事業(海外事業)を強化する。

 NRIは中期経営計画を、昨年10月制定したコーポレートガバナンス・ガイドラインの規程(情報開示と透明性)に基づき初めて公表した。今回中計は昨年4月に発表した長期経営計画「ビジョン2022」(16―22年度)のスタートにあたり、同ビジョンのグローバル化拡大や高品質サービスなどのテーマを軸に成長戦略を打出した。
まず国内市場を中心に、品質・生産性の向上や業界標準ビジネスプラットフォームの領域拡大、さらに従来の2大顧客(野村證券、セブン&アイ・ホールディングス)依存からの脱却を受け各顧客との関係深化で「顧客を大型化」するなどにより、国内市場全体としては年率4%程度の堅調な伸びを見込む。
一方、グローバル関連事業で積極的なM&A戦略に打って出る。アジアに加え欧米での事業基盤の足場を築き実績を上げる狙いだ。
 中長期の事業拡大を支える新たなパートナー企業を獲得し、新領域、新市場への展開や、既存の海外パートナーとの連携シナジーを活かし新領域への事業拡大を図る。18年度の海外売上高で15年度
の2・4倍にあたる580億円を目指す。この間のM&A投資は500億円を想定している。
さらに、デジタルマーケティングやフィンテック、またIoTやAIなど新技術領域への取組みといったデジタル新領域への展開も、同社の高い技術力を駆使して進める。
なお、ビジョン2022の前の「ビジョン2015」(08ー15年度)は、15年度の連結売上高が07年度比23・1%増、連結営業利益が同10・6%増で、リーマンショック後の10年度を底に回復した。
  課題とした事業ポートフォリオ転換は、2大顧客以外の顧客売上比率が58%から74%、産業分野向けが19%から24%、業界標準ビジネスプラットフォームが12%から22%に、グローバル関連事業が1%から6%へとそれぞれ拡大した。

 

野村総合研究所