産総研が新たな枠組み、民間との連携研究室設置

16 4/11

 産業技術総合研究所(産総研)は、4月から新たに企業の名前を冠した研究推進組織「連携研究室」の制度を導入した。第1号として、NECと人工知能(AI)分野の研究を行う「産総研―NEC人工知能連携研究室」を6月に発足する。昨年5月に、国内外の大学や研究機関からエース級人材を集約して発足した産総研の「人工知能研究センター」内の1プロジェクトとなる。同研究室では、シミュレーションとAIが融合した技術を研究し、「未知の状況での意思決定」という新しい分野の確立を目指す(NEC西原基夫執行役員)としている。

 産総研は、社会のニーズを踏まえた基礎研究から、経済社会に貢献する商品化や産業化の「橋渡し」を支援する研究活動を実施している。そのなかで今回、「科学とイノベーション」「大学と産業界」の間にある“死の谷”を埋めるため、研究シーズの事業化に向けて企業のニーズにより特化した研究開発を実施する、民間資金拠出型の連携研究室を開設した。
  連携研究室の設置条件は、民間企業が年に1億円以上、3年以上継続して研究資金を負担することなどとなる。パートナー企業は自らの企業名を冠した組織名称を付けることができるほか、産総研の研究員などのリソースを活用した共同研究がおこなえ、成果は一定期間地財の独占的通常実施権が付与されるなどのメリットがある。
同枠組みにおける第1号として、NECがAIの連携研究を行う。6月の設立時に15人で発足し、最終的に30人程度で研究活動を進めていく。連携研究室長には、人工知能研究でセンターの鷲尾隆大阪大学教授が就任する。
 NECは、現在同分野においてベクトル型のスーパーコンピューター開発で培った情報処理ノウハウなどを利用して、「過去のデータが十分に整った環境」でのビッグデータ分析や、効率化の通級など「ゴールが定まった問題」に対してのAI活用を進めている。
 これに対し、連携研究室では、十分なデータの蓄積がない問題でも学習データの不足をシミュレーションで補完し、非常時の対応や経営判断、新製品の開発など、未知の状況下での意思決定を可能とするシミュレーションとAIの融合技術を開発する。 
 具体的な技術研究開発として、「シミュレーションと機械学習技術の融合」「シミュレーションと自動推論技術の融合」「自律型人工知能間の挙動を調整」という3項目を実施する。

産業技術総合研究所

NEC