各省の概算要求出そろう

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 各省庁の2011年度予算の概算要求が出そろった。政権が変わってそれぞれが予算の見直しを実施したものの、現内閣が提唱する新成長戦略の「特別枠」に対する要求がふくらみ、要求総額は過去最高の96兆7465億円となった。IT関連をみると、経済産業省ではエネルギーや医療の情報化、クラウドコンピューティングの推進などに予算が配分され、総務省は、原口一博総務相が主導する「ICT維新ビジョン(原口ビジョン)2・0」に基づくブロードバンド推進や自治体クラウド、グリーンICTの推進などの項目が示されている。

 経済産業省の概算要求では、政府の「新成長戦略」、同省が策定した「産業構造ビジョン2010」、同じく「エネルギー基本計画」の3点に予算を重点配分している。
その中からIT分野を抽出すると、環境の分野では、超低消費電力デバイス技術の確立に42・3億円、情報機器のエネルギー消費を抑える「ノーマリーオフコンピューティング基盤技術」に13・1億円とそれぞれ新規予算を計上した。
さらに、データセンターの省エネ化を実現するためのグリーンITプロジェクトに36・4億円、クラウドコンピューティングの利用促進に17・3億円を計上している。
医療分野では、生活支援ロボットに昨年より3・6億円多い18・9億円を計上し、日本が主導する安全性規格の国際標準化をめざす。このほかにも、中小企業IT化促進として、情報基盤強化税制の一部改正および延長を要望している。
総務省のICT関連予算をみると、ブロードバンド環境100%化を実現するための「光の道」整備に31・3億円、子供同士の「協働教育」の確立に向けた「フューチャースクール推進事業」に28・7億円、安全なネット環境の整備に24・5億円などで、今年度予算を上回っている。
このほかに、ICT産業の国際競争力を強化するため、セキュリティやエネルギー問題を解決するための新世代ネットワークの実証事業「新世代通信網テストベッド」の構築に53・5億円、アジア地域を取り込んだアジアユビキタスシティ構想の実現に10・0億円を新たに盛り込んだ。
電子自治体の分野では、「自治体クラウド」の推進に新規で10・3億円、住基ネット・住基カードの利活用促進、コンビニ交付の普及拡大などに2・6億円の予算を計上した。
また、文部科学省の概算要求では、「革新的ハイパフォーマンス・コンピューティング・インフラの構築」として、次世代スパコン「京」を中核とした生活や環境問題解決のためのコンピューティングインフラの構築に、今年度を超える398億円の予算がつけられている。

関連サイト

経済産業省
平成23年度経済産業政策の重点(新成長戦略実現アクション)、概算要求・税制改正要望について

総務省
平成23年度総務省所管予算概算要求の概要

文部科学省
平成23年度文部科学省 概算要求等の発表資料一覧(平成22年8月)