IT戦略本部が医療のIT化に施策を公表

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 IT戦略本部は、IT政策の今年度施策「重点計画2007」における医療関連の施策内容を公表した。今年度の施策としてレセプトの完全オンライン化とその効果の最大化や、健康情報の活用と地域医療連携の推進を柱として医療分野のIT化を推進していく。これらは今年3月の「医療・健康・介護・福祉分野の情報化グランドデザイン」がベースになるが、特に疾病予防や早期発見の強化、医療の質の向上と効率化など、今後の課題となる国民医療費の急速な伸びに対応できるような情報活用基盤の整備と構築を推し進めることになる。

重点計画2007における医療分野のIT化では、国民の健康情報を活用する情報基盤の実現と国民視点の社会保障サービスを実現する電子私書箱(仮称)の創設を柱としている。
情報基盤とは、健康情報を個人が管理できる基盤と医療機関などの情報基盤、健康情報の全国的な収集・分析基盤、そして、全国の医療関連機関が相互接続される統合ネットワーク基盤を指す。
一方の電子私書箱は、国民が自らの情報を一元管理して自らの意思で活用できる仕組みのことで、電子私書箱にアクセスすると知りたい情報が一目瞭然で把握できるようにする。情報を整理したり他の手続きに利用することも可能になる。
こうした重点計画を受けてIT戦略本部の医療評価委員会は、重点2007への対応として「レセプト完全オンライン化の効果の最大化」「健康情報の活用と地域医療の連携の推進」を掲げた。
まずレセプトのオンライン化では、診療報酬体系を簡素化して算定ルールを明確にしていく。電子的な診療報酬点数表の暫定版の見直しを進め、08年度当初に行われる診療報酬改定と同時に暫定版を公表する。
さらに、オンラインで被保険者資格の確認を可能にすることや、処方せんの電子化と処方調剤情報の共有化を今年度から検討していく。
健康情報の地域医療連携は、健康情報の入手と管理におけるルール化に対して08年度中に方針を示すほか、医療連携に必要なソフトの提供や電子カルテシステムを連携する際の機器やソフトの整備などを進めていく。
医療分野のIT化は個別導入は動きが活発だが、全体最適を考慮したシステム構築が遅れており、これを解消する取組みに期待したいところだ。

 IT戦略本部 http://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/