NICTなど、ドローンに安全通信技術

15 10/5

 情報通信研究機構(NICT)は、プロドローン、サンエストレーディングと共同で、ドローンの通信の安全性を強化する技術を開発した。乱数性が保証された「真性乱数」を共通の暗号鍵としてドローンと地上局間で安全に共有し、制御通信をパケットごとに暗号化することで、制御の乗っ取りや情報漏えいを完全に防御する仕組みとなっている。同技術をもとに、乱数生成器を地上局に導入し、ユーザー・機器認証を経て暗号鍵をドローンに供給し、地上局間では手渡しで鍵配送を行う形の飛行誘導システムを2年後に商品化する予定としている。

 

 ドローンの技術が進歩し、国内でも利用に向けて法整備や議論が行われているが、飛行時の安全性対策が大きな壁となっている。
 首相官邸への落下事故などもあり、物理的な飛行制御のほかに、ドローンの遠隔制御に使われる無線通信は、傍受や干渉、妨害の影響を受けやすく、通信の乗っ取りや情報漏えいが起こりやすいというリスクもある。さらに、ドローンを無線通信で制御できるエリアにはまだ限界があり、広域での安全な飛行制御とどうするかという問題も抱えている。
 今回NICTが開発した方式は、ドローンと地上局間の制御通信をパケットごとに暗号化する仕組みで、従来の暗号化で用いていた複雑な関数や膨大な計算を必要とせず、処理遅延のないセキュア制御通信を、低速処理でも小型かつ安価なデバイスで実現できる。
 さらに、複数の暗号鍵をドローンに搭載し、対となる暗号鍵を複数の地上局に量子鍵配送ネットワークで配送することにより、複数の地上局間で安全に飛行制御を引き継ぎながら、ドローンを広域で飛行誘導するという安全な制御通信技術を開発した。NICT敷地内において、飛行制御を引き継ぐ実験にも成功した。   

   

暗号かぎの配送にあたっては、2つの飛行制御エリアで宅配サービスを利用した人手による暗号かぎの配送と、NICT内に構築した量子鍵配送ネットワークによる自動配送の実験に成功している。

 

情報通信研究機構(NICT)