実用性評価で「京」1位

16 11/21

 国際的なスーパーコンピューター(スパコン)の性能ランキングが続けて発表された。最も有名なスパコン演算速度のランキングである「TOP500」2016年11月版では、中国の「神威太湖之光」がトップを維持し、日本のマシンとしては新たに東京大学と筑波大学が共同運用する「Oakforest―PACS」が6位に初登場、国内最高性能の座を獲得した。また、スパコンのシステムとしての実用性を考慮して開発された性能指標「HPCG」で、理化学研究所(理研)と富士通の「京」が1位を獲得した。

 TOP500では、中国・無錫国立スーパーコンピューティングセンターに設置されている神威太湖之光が、93・014PFLOPSで連続1位を獲得した。日本勢では、Oakforest―PACSが、13・55PFLOPSを記録、京を抜いて演算性能で国内1位に名乗り出た。
  TOP500は、連立一次方程式を解く「LINPACK」を使用したベンチマークプログラム。年に2回発表されるもので、日本のマシンではNECの「地球シミュレーター」と京が1位を獲得しているが、最近は2013年から中国のスパコンが連続で1位を獲得している。
  HPCGは、産業利用など実際のアプリケーションでよく使われる計算手法の「共役勾配法」を用いた、14年にスタートした新たなベンチマークプログラム。理研/富士通の京は前回2位にランキングしていたが、今回の測定には、京が持つ全計算ノード8万2944台を用いて602TFLOPSを実現し、1位を獲得した。
  京はTOP500のLINPACKでは10・510PFLOPSで7位だが、京よりも上位のスパコンよりも順位が高いことから、単なるCPUの演算性能だけでなく、メモリーやネットワークも含めたシステム全体としての性能バランスを重視して設計開発され、産業利用など実際のアプリケーションを効率よく処理し、高い性能を発揮するという評価を得た形だ。
  なお京は、同時に発表されたグラフ解析のスパコンランキング「Graph500」でも1位を獲得している。


東京大学

筑波大学

富士通

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