連載 SaaSベンダーの取組みを追う

第6回

ペンタゴン ネットスイートで中小アパレルにERPの普及ねらう

  アパレル専門のシステム・コンサルティング会社であるペンタゴンが、中堅アパレル企業の次世代基幹システムとして期待を寄せているのが、SaaS型統合ERPのネットスイートだ。
 同社は、主に売上高30億円から50億円の中堅規模のアパレル企業を対象に多くのシステム導入案件を手掛けてきている。その経験から、ネットスイートの持つ機能やSaaSとしての仕組みが中規模アパレル企業に適していると判断した。
 「ネットスイートなら大規模ERP並みの機能を中堅アパレル企業でも利用することができる」(冨田さより社長)と考え、販売代理店として業界へのネットスイートの普及にひと肌脱ぐこととなった。
 ネットスイートは、ERP、CRM、EC、BI機能などを統合的に持つSaaS型ソフトで、同社が日本に進出した06年、まずはCRMを日本語化してサービスを開始している。その当時は、セールスフォース・ドットコムがSaaS型CRMとして市場に大きなインパクトを与えていた時期で「SaaSにもっとも適したアプリケーションはCRM」という考え方が浸透していた。
 日本市場にはまずCRMを、というネットスイートの選択は、この市場動向を背景に考えれば、間違えではなかったかもしれない。しかし冨田社長は「ネットスイートの強みはERPにある。生産管理など他のSaaSソリューションには無い機能を備えており、ここを前面に押し出し、差別化を図るべきでは」と指摘している。
 現在では、ひと通り日本語化が完了し、販売体制が整ってきているが、統合ERPとして導入するには、業種テンプレートや、他の業種特化型SaaSと連携させて足りない部分を補ったパッケージ製品の登場が待たれるところだ。
 また、冨田社長によると、ネットスイートにはパートナー管理やプロジェクト管理など、SaaSの特性を活かした連携性に優れた機能が搭載されており、自社でも外部パートナーとのプロジェクト管理に共用システムとして利用しているという。「プログラマーを抱えていなくても、ここまでERPを運用できてしまうのが最大の魅力」だという。
 今後、SaaSが企業の基幹システムに活用されていくためには、ペンタゴンのようなSaaSに特化したノウハウを持つITコンサルティング企業の登場が必要となってくる。

 

  

日本情報産業新聞2009年6月22日号

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