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輝けITベンチャー


第11回
潟vロフィット
久世社長
久世文夫社長


  新たな事業ドメインとして、パッケージソフトの販売に乗り出した。これまでにないコンセプトで開発された「マーケティングA.I.」は、従来の営業支援ツールやマーケティングツールでは満たされなかった、営業の“受注率”“成約率”を上昇させる「売上げアップ」のためのツールとなっている。開発は、業績アップのためのコンサルティングで評価が高い人材コンサルティング会社ワイキューブの持つノウハウをIT化しようというところから始まった。「ワイキューブのコンサルティング能力とプロフィットのIT技術力が融合することで実現した、新時代のマーケティンソフトがマーケティングA.I.だ」と久世文夫社長はいう。特徴は、単に顧客動向や傾向を分析するのではなく、購買に結びつき易い顧客を抽出することのできるAIエンジンにある。

購買意欲のある顧客層を狙え

マーケティングAI画面

 例えば、ダイレクトメール10万通を使ったアプローチを行い5,000件の問合せを受け、そのうち500件の受注を獲得したとする。その後のアクションとして、通常の企業は残り4,500件への再アプローチを考える。しかしマーケティングA.I.が注目するのは、問合せがあった5,000件と成約した500件の情報だ。これらの情報を分析することにより「受注に結びつき易い」顧客の傾向や特性が導き出される。これがすなわちその企業の製品を「どのような人が買うのか」「どのような動機で買うのか」といった情報であり、「買わない顧客」を排除することで無駄を省き、それらの情報からピックアップされた「買う可能性の高い要素を持った」顧客へアプローチすることで成約率の高い営業が可能になるという仕組みになっている。また、この行為を繰り返すことで成約率をさらに向上させていくことも可能だ。つまり、マーケティングA.I.は、いかに購買意欲のある顧客を選び出してアプローチできるかに重点を置いたマーケティングツールで、だれもがトップセールスマン並の成果を上げられる「組織営業」を可能にするものだ。
  この製品は、プロフィットとして初の独自パッケージ製品となるもので、開発までに2年の歳月を費やしている。このパッケージ開発に踏み切った理由は「新たな収益構造の確立と、社員のモチベーション向上」だったという。

メーカーの花形技術者から独立

久世社長2

 久世社長は前職の大手ベンダー時代、ホストコンピューターのOSやスーパーコンピューター、金融システムなど、技術畑のメインストリームで活躍していた。1997年に独立した後は、そこで培った技術力と人脈を活かしメインフレームや金融アプリケーションの受託開発などを行っていたが、時代の流れを読み2000年の末にメインフレーム事業から思い切って撤退し、オープンシステムに特化するようになった。それまでの受託案件は日立からのもの中心だったが、オープン系への取り組みをきっかけに、外資系メーカーとの取引も積極的に増やしていくことになる。その後、大手製薬会社へのERPシステムの導入を手がけるなど、高い信頼性を武器に、主にプライムコンテンダーとして数多くの企業の受託開発を任されることに。
  しかし「受託開発案件ばかりを行っていると、どうしても社員のモチベーションが下がってきてしまう」と社内の微妙な雰囲気を感じ取り、ワイキューブとの話をきっかけに新たな事業分野としてパッケージビジネスにトライアルすることにした。マーケティングA.I.は2年かけて開発した、まさに「社運を賭けた」製品だが、「他社の製品を扱っている時とは社員の目の色が違う」と、その結果には満足している。「自分たちの製品」は、十分モチベーションの向上に貢献しているといえる。
  現在マーケティングA.I.は、パッケージ販売のほかに、中小規模の企業でも導入できるようASP方式での提供も行っている。こちらはすでに数件のユーザーが決まっており期待も高まるところだ。「今後、より多くのユーザーへ導入を進めていくことで、マーケティングA.I.の精度はますます向上する。そのフィードバックを開発に盛り込んでいき、目指すは受注率100%のソフト」と、意気込みを見せる。

《企業データ》
株式会社プロフィット
設立 1997年4月
資本金 3,870万円
代表取締役 久世文夫(くせふみお)
住所 東京都新宿区市谷八幡町2-1
http://www.prophet.jp/