経産省が人材育成の整備促進へ

06 11/27

 経済産業省は、高度IT人材育成に向けた取組みを明らかにした。政府が高度IT人材育成推進基盤の整備をうたい、大学や小中高校の教育強化を進めているが、経産省ではスキル可視化のための環境整備として情報処理技術者試験とITスキル標準の統合をはじめ、先進的IT教育の推進、内外の優れた人材の育成・活用を核とした施策を展開していくことになる。現在の情報サービス・ソフトウェア産業の厳しい現実を打破するためにも、専門ワークグループを中心に、スキルの可視化とキャリアパスの明確化などを創出していくとしている。

 IT業界は現在、情報工学系学部への志願倍率の低下、学生のIT業界に対する魅力の低下、そして新卒就職者の減少と退職者の増加という悪循環による技術者不足が深刻な状況を迎えている。
 政府は、IT業界を魅力ある産業に転換するべく、高度IT人材育成に乗り出しており、経産省は69年から情報処理技術者試験、02年にITスキル標準、昨年は製造業向け組込みスキル標準、今年に入りユーザー企業を対象とした情報システムユーザスキル標準を策定してきた。
 ところが、情報処理技術者試験は昨年、14の試験区分に年間65万人を超える応募者はあるが、合格率は基本情報技術者で13・1%、全体でも17・0%と7万人程度で極端に低い。そのため試験回数の増加や新たな区分の新設などを検討するとともに、民間試験資格の活用などを見直す考えだ。
 一方のITスキル標準は、採用する企業ごとの活用策や準拠程度が異なり不整合性が顕在化していることや、IT業界/製造業界/ユーザー企業という区分の中で整合性が取れていないことをあげ、これらを見直していくことになる。
 経産省では、情報処理技術者試験と人材評価システムであるITスキル標準を統合することで、客観的かつ透明性の高い人材育成・評価システムを整備することにした。これにより高度IT人材育成の可視化を促進していく考えだ。
 ITスキル標準と情報処理技術者試験に、一貫した整合性が必要との声は以前から上がっていた。経産省の取り組みにより、IT人材の慢性的不足を徐々に解消に向わせるような人材の育成と活用を明確にする基盤が整ってきたことになる。

経済産業省 http://www.meti.go.jp/