大阪大学/スキャリティ社/富士通、コールドストレージに着目

16 11/28

  大阪大学と米スキャリティ社、富士通の3者は、デジタルデータの総量が増加していくのに比例して増加している、ほとんど更新されることのない「コールドデータ」を保存する「コールドデータストレージ」に注目した大陸間データセンター連携の共同実証実験を開始した。実験は、大阪大学サイバーメディアセンター内のデータセンターと、仏アンテメタ社が所有するデータセンター間で行う。これにより、IoT時代で更なるデータの増加が見込まれるなか、新しいデータの蓄積および複数拠点間でのデータ共有の姿を検討する。

 実証実験は、3者を中心にフランスのパスツール研究所、原子力・代替エネルギー庁、パナソニック、ヤフー、ラリタン・ジャパンなど日欧の産学パートナー参加によるコンソーシアム形式で行う。
  IoTやAIでの適用などを背景に、ほとんど更新されないコールドデータが、画像および映像系を中心にデータの半数を占めるようになり、新しい効率的なデータ管理のニーズも生じている。
  そこで、現在近距離のデータセンター間やスタンドアローンのデータセンター内部でのみ実現しているデータの階層化と冗長化を、大陸間のような遠距離で実現する「ジオ・レプリケーションシステム」を開発する。
  同システムでは、頻繁に更新される「ホットデータ」や更新頻度の低い「ウォームデータ」に加えて、ほとんど更新されないコールドデータをディスクやフラッシュなど複数種類のストレージ・デバイスへと階層化して保存する。
  富士通がプロジェクト管理を担当、大阪大学がコールドストレージ間のデータ階層化制御を担当する。ストレージ管理ソフトにスキャリティ社の「スキャリティ・リング」を活用し、分散コンピューティング環境で活用されている同社のCRDTというデータ共有技術を応用し、コールドデータを各大陸にあるデータセンター間で複製することにより、スループットの向上や、対災害性、個々のデータセンターの効率化による低コストな遠隔地間連携ストレージ基盤の構築を目指す。
  実証実験は、2017年12月まで行う。17年3月までに3者が基本動作の確認を行った後、日欧の共同実証実験パートナーと共に、具体的なアプリケーション、様々なタイプのデータでの利用実験を行う。
  研究成果を元に、3者は、それぞれコールドデータストレージサービス、遠隔地間連携ストレージ基盤の開発、利用技術の開発を目指す。

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