NTTデータがアジャイル開発人材を1千人育成へ

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 NTTデータは、入社3年目から5年目の若手リーダー層を中心に、アジャイル開発の人材を育成する。同社では、今後3年間で全案件の約15%がアジャイル開発になると見込んでおり、それに併せて3年間で1千人の対応人材を育成する。研修メニューは、英語や中国語にも対応させ、海外のグループ会社の人材も育成する。ソフト開発業界は、ウォーターフォールモデルに基づく多重下請の階層構造となっているが、上流を担うNTTデータがアジャイル開発に注力することを表明し、今後の業界におけるビジネス構造の変化の兆候を示した形となる。

 

 これまで国内における業務システム開発手法は、上流で要件定義や設計を行い、そこで作られた仕様書をもとに一気にコーディングを進める「ウォーターフォール型」が主流となっている。それに伴い、案件を受託した大手SI会社がユーザーとのやり取りや設計といった上流部分を担当し、後工程を下請けのSI会社に委託するという構造ができている。
 一方でアジャイル開発は、システム開発の対象を分割し、要求分析や設計といった上流工程からコーディング、テストまでの開発のサイクルを小さな単位で行い、その都度内容を確認しながら少しずつ開発を進めていく。ユーザーとすり合わせしつつ開発するため、要求の変更にも柔軟に対応でき、ユーザーが求めるシステムを構築しやすいというメリットがある。
 アジャイルは、ウォーターフォール型で複数の開発会社が携わるという業界の多重下請構造に変化が及ぶこともあり、国内の業務システム開発では注目されるレベルにとどまっているが、すでに欧米では普及が進み、国内でもゲームやWebの開発案件で採用される例も増えている。
 NTTデータは、グローバルでのビジネス展開を加速していることもあり、今後のアジャイル開発案件の増加を見据えて対応する人材の育成に取組む。アジャイル開発の手法として、欧米で最も採用されているScrum(スクラム)を採用し、今後はXP(エクストリーム・プログラミング)などの新しい手法も追加していく。

    在は、スクラム対応人材が10数人という状況だが、今年中に300人に研修を行い、3年間で1千人の対応人材を育成、順次海外のグループ会社にも教育を拡大していく。研修は、グループ会社のNTTデータユニバーシティが行う。