トイレ問題をIoT発展の起点に

16 10/24

 伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)が、トイレにセンサーを設置してリアルタイムに個室の空き状況を確認できるクラウドサービス「IoTトイレ」を開発、三井不動産と連携してサービス化に取り組むという。
  日本人は元来腸が弱いということもあり、駅などの人が集まる公共のトイレには、どうしても一定の時間に利用者が集中する。そういうなかで、オフィスビルでは他のフロアや外部からの“越境者”の問題も生じる。コーヒーショップでトイレに立ち使用中のため席に戻るということを繰り返すのもあまりいい気分はしない。
  このようにトイレ問題を深刻かつ過敏に捉えている人たちは多く、実際同様な仕組みを鈴与シンワートが本社ビルで実証的に導入し、イベント会場でも5月のワイヤレスジャパンや、先週行われたエスキュービズムIoTカンファレンスでデモが行われるなど、IoTでトイレ問題解決を図るアプローチは多い。
  IoTは、人工知能(AI)やフィンテックとともに、イノベーティブや破壊的テクノロジーなどの派手な飾り表現とともに次世代テクノロジーとして紹介されているが、技術の産業界への出口としては今のところ製造業での業務効率化や保守コスト削減に活用されるというものがほとんどだ。役立ってはいるが、結局コスト削減一辺倒で導入されてきた国内のIT化と同じ道を辿っている感があり、このままでは国内においてIoTでの新しいうねりはあまり期待できそうにない。
  そこで、IoTトイレである。トイレといえば、ウォシュレットが世界のセレブから賞賛を受け、歌までヒットした日本人の得意分野だ。IoTトイレを入口に、通勤時間をずらしたり、テレワークの導入など働き方改革の提案でSIビジネスにつなげるという手もある。トイレ問題を起点に、IoT領域で新たな発想が広がることを期待したい。 (I)