組織の健康に俯瞰的な視点を

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 メンタルヘルス事業に取り組むピースマインド・イープが、同社のEAP(従業員支援プログラム)サービス利用者に実施した最新調査によると、男性は40代・50代でプライベートの悩みが増え、女性は30代がピークを迎えるという。ちなみにEAPとは、「従業員一人ひとりが十分に能力を発揮し、組織全体が健康に機能できるように、従業員と組織の双方に対して行うアプローチ」だ。
 このような組織の健康問題は、職場と家庭の両面で考える必要がある。メンタルヘルスが法制化されたが、ストレス要因については職場のことばかりが問題視され、プライベートや家庭環境という部分にはあまり踏み込んでいない印象だ。そうなると、あれも駄目これも駄目となり、単に「職場で問題さえ起きなければいい」となりがちだ。禁止された従業員も温室栽培になって、結果組織が弱体化する。国策もあって、メンタルヘルスやワーク・ライフ・バランス(WLB)、女性活躍と働き方について考える機会が増えたが、何のために導入するかということを考えるべきだろう。
例えば、40代・50代男性のプライベートな悩みで今後間違いなく増えるのが介護問題だ。結婚、妊娠、出産という流れを伴う育児はある程度時間に見通しが立つが、親や家族の介護問題は急にやってくる。介護の場合、いつまでかかるのか見通しもつかず、本人にかかるストレスも大きいため、離職に至るケースが多い。
  一方若手はプライベートを重要視し、残業や飲み会について過剰なまでの反応をする傾向にあるようだが、「WLBは、ワークとライフのバランスをトータルで取ること。それを将来的に実現していくためには仕事のスキルが必要になるため一時ワークに偏ることがあるのは仕方がない」と、某上場情報サービス企業のトップが論じていた。組織の健康問題は、悪しき慣習の改善も含めて、俯瞰した視点での取組みを求めたい。           (I)