グーグルが自社サービスで情報流出

14 4/21号

 グーグルが、メール共有サービス「グーグルグループ」で、顧客から預かった公共施設や商業施設の設計図などを含むメールが「公開」状態にあったという、実質情報流出に当たる問題を起こした。
 報道によると、グーグル日本法人は、グーグルマップの施設サービスである「インドアグーグルマップ」の更新作業において、情報共有で利用していたグーグルグループの設定が「公開」状態になっており、空港や駅ビルなど130もの公共施設・商業施設の図面が、ネット上で誰でも閲覧できる状態にあったという。
 インターネット上の情報共有サービスを使った、使用方法の誤りによる情報流出は以前より起こっており、その危険性が指摘されてきたが、今度は提供者が自社サービスの使用方法を誤るという、お粗末な問題を起こしてしまった。
 主に検索サービスなどB─Cサービスで名を上げてきたグーグルだが、クラウドの普及とともに、B─Bサービスの拡大にも注力してきた。それだけに、エンタープライズでの信用を築いていく段階においての今回の件は大きな失策であり、一刻も早い信頼回復が求められる。
 一方で、今回の問題は、コミュニケーション過多になりつつある現代社会への警告と捉えることもできる。スマートフォンの普及によってSNSがますます身近なものとなり、ネットワークを通じたコミュニケーションが街に溢れている。
 極端な所では、社員同士の会話を、メールに限定するように指導する企業もあるように、ひたすらコミュニケーションをITに依存させることが正義という風潮が高まりつつある。当人を目の前にして、メールで会話する景色には、違和感を覚える。

   グーグルは、そんなITを駆使したコミュニケーションはお手の物の先端企業だが、そのような手錬(だれ)の社員がいる環境であっても、今回のようなケアレスミスは起こる。ITサービスは、ユーザーにとっての使い易さに相反してリスクは高まるものだという現実から目を背けてはいけない。リスクを意識することこそが、最大のリスクマネージメントになるはずだ。

(G)