Rubyが開発言語として初の国際規格に

12 4/9

 日本で誕生したプログラミング言語の「Ruby」が、国際標準化機構(ISO)および国際標準会議(IEC)が策定する国際規格の「ISO/IEC30170」として承認された。日本発のプログラム言語が国際規格化されたのは今回が初となる。国際規格化されたことによってRubyの言語仕様の安定性と信頼性が高まり、今後のシステム開発での採用が増え、開発、教育などの国内におけるRuby関連産業の更なる盛り上がりと国際展開が期待される。

 Rubyは、1993年にまつもとゆきひろ氏により発案されたオープンソースのオブジェクト指向スクリプト言語で、言語のシンプルさに加えて開発フレームワークの「Ruby on Rails(ルビー・オン・レイルズ)」などの周辺環境の整備により、この数年で急速に普及している。
 国内では2011年7月に、まつもと氏を理事長とする一般財団法人のRubyアソシエーションが設立され、個人レベルだけでなく多くのITサービス会社が技術者を育成し、ビジネス展開も進んでいる。まつもと氏の地元である松江市や、福岡市など地場産業の復興でRuby技術者の育成に注力している自治体もあり、組込みソフト開発プラットフォームへの適用の取り組みも、現在進行しているところだ。
 仕様の標準化に関しては、情報処理推進機構(IPA)がRubyの標準化検討ワーキンググループを設置して、国際的なコミュニティと密に連携をとりながら、Ruby言語仕様の国際規格化へ向けた事業を実施してきた。まず昨年3月に「JISX3017」として国内で規格化され、同時に日本工業標準調査会を通じてISOおよびIECの合同企画委員会に国際規格案を提出し、このたびISO/IEC30170として承認された。
 国際規格化により、グローバルレベルで展開されるクラウドコンピューティングの領域でも、Ruby言語の採用が増えることが期待され、国内IT産業に新しい道筋が開けた形となる。

   なお、Rubyが国際規格として承認されたことを記念して、まつもとゆきひろ氏などを招いたIPA主催の講演会が6月5日に開催される。

Rubyアソシエーション

情報処理推進機構(IPA)