高信頼性ソフト開発に新団体発足

2010 1/11

 NTTデータ、富士通、NEC、日立製作所、東芝のプライム系ITベンダー5社と国立情報学研究所(NII)は、大規模システム開発の信頼性と安全性の向上を目的に「ディペンダブル・ソフトウェア・フォーラム」(DSF)を発足した。DSFは、障害を起こさないエンタープライズソフトウェアを生成するための構成技術と設計技術を確立させるための研究開発活動を行う組織で、活動成果をIT業界に普及させ、ソフトに起因するシステム障害の低減を図る。第一弾として、形式手法をソフト開発に取り入れるためのワーキンググループを設立し、研究活動を開始している。

 「ディペンダブル・ソフトウェア」は、高信頼性ソフトウェアとほぼ同義語で、信頼性や安全性を向上させるソフトウェアという概念を指す。
  ディペンダビリティを向上させる手段として、不具合や攻撃の発生を予防する「回避」、不具合や攻撃の数を減らす「除去」、「耐障害性」の3種類があり、それを実現する有力な手段として「形式手法(フォーマル・メソッド)」がある。
  形式手法は、数学的理論に基づくことで正しいことを客観的に証明でき、理論上不具合がなくなるというソフト開発および検証技術で、欧州では社会インフラ開発案件の調達条件となる例も増えているが、日本では学術的研究は行われているものの、ソフト開発案件への導入事例はまだ少ない。
  さらに「大規模システム開発への適用を想定した場合、既存の開発手法とは違う手法を取り入れなければならず影響が大きくなる」(NII中島震教授)ためエンタープライズ系への適用は少なく、これまでの事例のほとんどは組込みシステムのものとなる。
  同WGでは、まず形式手法の基礎的部分から研究し、開発の上流工程において各社が部分的に形式手法を適用し、「形式手法をどのように使い分ければいいか、どの部分に使うのがいいかを見極め、現場で活用できる形式手法の適用事例やノウハウを2011年にガイドラインとして公開する予定」となっている。
  NIIは、昨年3月に今回の参加各社とともにソフトの信頼性向上に関する提言書をまとめており、それをけん引する組織の必要性を記していた。DSFの設立は、「欧米では、国家レベルで中長期的にソフトの信頼性向上に取組んでいる」ことから、ソフト業界における国際競争力を強化するために政府に対して高信頼性ソフトの重要性をアピールするねらいもある。

NTTデータ(DSF事務局)

富士通

NEC

日立製作所

東芝

国立情報学研究所