TOPPERSプロジェクトがマルチコア用OSと開発支援環境を公開

09 5/11

 TOPPERSプロジェクトは、ITRON4.0仕様のマルチコアプロセッサー向け組込み用リアルタイムOS(RTOS)「トッパーズ/FMPカーネル」と、組込みソフトのコンポーネント開発を支援する「トッパーズ組込みコンポーネントシステム(TECS)」の一般公開を開始した。これまで会員限定で公開してきたものをオープンソースソフトとして配布する。日々開発量が肥大する組込みソフトの世界で、マルチコアシステム採用による性能の向上と、開発を効率化させるためのツールを提供し、組込みソフト開発の高度化を支援する。

 トッパーズOSは、トロン協会が管理しているオープンソースのRTOS「TRON」の仕様に基づいており、TOPPERSプロジェクト会長である名古屋大学の高田広章教授が中心となり、名古屋大学や参加する会員企業のメンバーで開発を進めている。
  TRONは、最新版の「μITRON4・0」の発表からすでに10年が経つため、同プロジェクトでは、ITRONを継承する次世代RTOSとすることを目的として、トッパーズOSを開発している。
  今回公開したトッパーズ/FMPカーネルは、マルチコアプロセッサー向けにトッパーズOSを拡張したもの。組込みOSで利用されているタスクをプロセッサーコアに設計時に割り当てる方式である「機能分散型」を基本に、ウインドウズなどの汎用系OSで採用されているシステムの稼働中にタスクを別のプロセッサーコアに移動させる「対称型」のシステムにも対応し、高いリアルタイム性と動的な負荷分散を両立できる仕組みとなっている。
  TECSは、組込みソフトを部品化してモジュール開発を実現するための開発フレームワークで、C言語をベースとした独自の記述言語である「CDL」を用いてソフトの部品化開発を実現する。
  配布内容にはコンポーネントモデルや記述言語を規定した仕様書と、コンポーネント記述からプログラムを生成するジェネレーター、TECSに対応させたトッパーズRTOSが含まれる。
  TECSは、トッパーズ以外のRTOSやCAN、TCP/IPといった複数の通信ミドルウェア、マルチコアシステムといった複数のプラットフォームに対応しており、今後同プロジェクトで更なる開発を進めていく。

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