JASAが新人組込み技術者の雇用と育成を支援

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 組込みシステム技術協会(JASA)は、来年度より会員企業に対して、新入社員を対象とした助成金付きの実践的人材育成プログラムを開始する。同プログラムは、厚生労働省が展開する実践型人材養成システム(実習併用職業訓練)の枠組みのもと、JASAが実施・支援団体として行うもので、JASAは座学とOJTによる2種類の雇用訓練メニューの提供と、助成金適用のための支援を行う。これにより、製造業の不況に伴って凍結傾向にある中小組込みソフト開発会社の新人雇用と人材育成を促進する。

 組込みソフト業界では、昨年の途中までは圧倒的な技術者不足の状態が続いていたが、景気の後退によって現在では一気に案件が激減し、多くの組込みソフト開発会社で技術者が余るという状態にある。これにより、ほとんどの中小ソフトハウスには、キャリアのない新卒学生を採用する余裕がないというのが実情だ。
  一方の厚生労働省は、職業訓練システムの一環として実践型人材養成システムを展開しており、助成金制度も整備しているが、同訓練システムを活用するためには事前に大臣認定を受け、訓練実施後に助成金の申請を行うなどのはん雑な作業が伴い、余力の無い中小企業にとってはやや敷居が高いという側面がある。
  そこで同制度の利用促進を図る厚生労働省は、組込みソフト業界に関する雇用訓練メニューの作成と訓練プログラム利用のモデルケースの形成を今年度JASAに委託し、来年度よりサービスを開始するに至った。
  まず、4月9日から6月12日の期間、東京都内で座学研修を実施する。メニューは、「開発基礎とC言語」「プログラミング実習」「プロジェクト演習」で、組込みスキル標準(ETSS)のスキルレベル1程度の人材を育成する。このほかに、社内OJT担当者研修を3月までに実施する。
  また、座学修了後に、ソフトウェア技術知識修得達成度を評価するため、JASAが運営している組込み技術者試験制度「ETEC」クラス2の試験を行う。
 JASAは、初回の実施状況を踏まえ、今後も見直しをかけながら継続的に人材育成プログラムを行っていく。なお、初回の申込み受付は1月末までとなっている。

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組込みシステム技術協会(JASA)