JISAが派遣法対策に提言案

06 8/21

 情報サービス産業協会(JISA)は、複雑化・高度化するシステムの開発・運用業務の取引において、請負・委託、派遣での適正な運用基準を明確にすべく「改正派遣法の「業界運用基準」の見直しに関する提言(案)」の原案を策定、会員の意見募集を開始した。適正な労働者就業条件の確保を図る観点から派遣法の遵守は当然だが、近年のソフト開発業務の環境変化や、これに伴うベンダーの役割の変化などを踏まえると、業務委託が「偽装請負」として派遣法違反になる恐れがあるなどから、業界運用基準を見直して関係省庁に要望することにした。

 情報サービス産業の契約形態は、その特異性のため労働者派遣法に抵触する恐れが高い。JISAは86年に施行された派遣法の実施に伴い、日本電子工業振興協会(現電子情報技術産業協会=JEITA)と共同で、通商産業省・労働省(いずれも当時)の指導のもと、「請負または委任」と「派遣」の判断に関する業界運用基準の要望書を労働大臣あてに提出している。
 また、04年度の改正派遣法の施行で監督官庁の事業者への指導監督が強化されており、偽装請負として是正指導されている事例が発生しているという。そこで今回は、ソフト開発業務の環境変化とそれに伴うベンダーの役割変化を鑑み、時代に見合った業界運用基準の見直しに関する提言を行うことにした。
 JISAの取引・市況委員会取引部会が取りまとめたもので、まず業界の変化背景と業界の注意すべき点を明確にしたうえで、業界の特異点を考慮した運用基準となる法制度への対策要望を具体的に明らかにした。
 例えば、業務委託である準委任契約において、業務遂行には担当技術者の資質や能力に依存する要素が高いことから受託側の従業員が適正かどうかの事前面談を行うこと、また、業務事態のある重層的受委託構造において2次3次受託を行っている他ベンダーの責任者がユーザーとの打合せに出席できること―を認めてほしいなどを明記している。
 JISAは、この原案を公表することで会員の意見を求め、今後の「業界ルール」の策定およびJEITAと共同での関係省庁に対する要望を行うとしている。意見募集の締め切りは8月31日までで、メールでの受付けとなっている。

情報サービス産業協会 http://www.jisa.or.jp/