NECがITサービスで1兆円越えねらう

10 10/18

 NECは、ITサービス事業の成長を見据えた事業戦略を発表した。成長の基本方針として、クラウドサービス事業の拡大と業種ソリューションのサービス化によるグローバル事業の拡大などを重点事業戦略として打ち出した。ITサービス関連では、NECソフトなどの主要SI会社を完全子会社化して特化したビジネスを展開しているが、競合他社のITサービス事業に比べて伸び悩んでいる。「2012年度にはITサービス事業全体で2009年度比15%増の1兆1千億円の売上を見込む」(ITサービスビジネスユニット取締役執行役員富山卓二常務)としている。

 今回の事業戦略は、大きな飛躍が見られない同社のITサービスユニットの目標を再度明確にする狙いがあり、2012年度までの注力事業を決め、それをグローバル展開する。
  成長のための重点事業戦略として、「クラウドサービス事業」「グローバル事業」、そして内部では「SI収益性向上への取組み」を掲げた。これにより、09年度のITサービス事業の売上高8663億を、今年度は8900億円に引き上げる考えだ。また、営業利益は同532億円から560億円を目指す。
  具体的な事業戦略を見ると、クラウドサービスでは、SIで培った技術力とノウハウをベースに、コンサルから構築、移行、運用、保守というライフサイクルマネージメント(LCM)での総合サービスを展開する。「ユーザーの全システムの15%―20%がクラウド化が可能」であることから、ユーザーの基幹業務領域をはじめ、新たなビジネスの創造支援、幅広い業務・業務アプリケーションについてNECの技術力を集めワンストップサービスを展開する。
  さらに、サービス事業基盤となるデータセンター(DC)は、国内50数カ所あるDCを、クラウド対応を強化する主力DC10カ所とそれ以外の地域DCに分け、サービスを強化する考えだ。
  一方のグローバル事業は、日本企業の海外進出拠点のサポートから、現地のSI案件の獲得を目指していく。また、日本を含め、中華圏、アジアパシフィック(APAC)、北米、欧州のグローバル5極における「クラウド指向データセンター(CODC)」を来年度にも立ち上げる。
  特に成長著しい中華圏のマーケットに注力、「現地有力企業とCODC合弁会社を設立して社内で培った基幹クラウドを中心に展開していく」としている。

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