マイナンバー制度開始迫る

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 国民1人ひとりに固有の番号を割り当てる社会保障・税番号制度(マイナンバー制度)が、10月5日より施行される。マイナンバー法の施行を前に、個人情報保護法も改正され、10月中旬から11月にかけて、全国民に対して番号通知カードの送付によって通知され、2016年1月より自治体の業務でマイナンバーの利用が開始され、希望者に対して顔写真やICチップを搭載した個人番号カードの発行が開始される予定だ。

 

 マイナンバー制度は、複数の機関に存在する個人の情報を同一人の情報であるということの確認を行い、行政サービスの透明性を高めるための社会基盤で、マイナンバーには12桁の「個人番号」と、13桁の「法人番号」の2種類が用意されている。
 国民1人ひとりは、個人に関する社会保障や税金、医療などに関連する情報を一元的に管理・取得でき、行政側は社会保障や税にかかわる事務の効率化が図れるなどのメリットが得られる一方、企業は従業員やアルバイト、その家族などの個人番号を収集し、安全に管理する義務が生ずるため、負担が増える。
 マイナンバーは2016年1月以降、まずは社会保障・税・災害対策の分野で利用が開始されるが、本格的活用については、これからということになる。まだ現状では、各種証明書のコンビニ交付サ ービスくらいしか有効なサービスが見当たらないのが実情だ。
 例えばマイナンバー制度実現の契機となった年金管理においても、日本年金機構のずさんな情報管理のせいで活用は先送りとなった。消費税増税後の還付に活用するという案も出たが、現実的に難しいという声が大きい。
 それでも今後は、マイナンバーとひも付けした個人の預貯金口座の管理、健康保険組合などが行う被保険者の特定健康診査情報の管理医療分野での活用などが予定されている。ほかにも、これから自治体間での情報提供ネットワークシステムを介したマイナンバーを利用した情報共有が行われるようになり、個人の情報を一括管理できるポータルサイトが開始されるなど、活用の幅が徐々に広がっていく予定だ。国は安全対策を十分に考慮し、国民も参加して有効利用に向けた議論が行われることが望ましい。

内閣官房マイナンバー社会保障・税番号制度広報サイト